カサ・ビセンス(Casa Vicens 建設期間:1883年~1888年)

カサ・ビセンス

タイル業者のマヌエル・ビセンスからの依頼で造られた建物「カサ・ビセンス」は、ガウディがまだ直線的な構造を多様していた頃の建築物です。

彼は「自然に直線はない」という考えのもと徐々に曲線的なものを造るようになりますが、建築家として初めて築いたこの邸宅の外観を見ると非常に規則正しい構造をしています。

その建築様式のメインには、当時彼が興味を持っていたムデハル様式の影響が窺え、いかにもカタルーニャ主義の建物といった感じです。

外壁には、つる草を這わせたようなデザインに仕上げるため、紅黄草の花を描いたタイルが敷き詰められています。

この花は、ガウディが自らデザインをしました。

また、赤レンガを基調にし、白と緑のタイルを規則的に貼ることで、全体的にきれいな幾何学模様を描き出しています。

抜群な配色を見ると、ガウディがこの頃から既に色彩感覚が優れていたことがわかります。

彼は自然界の模様を建物に存分に反映させていて、外壁のつる草模様もそうですが、食堂の天井にはさくらんぼの彫刻を配置し、門扉にはシュロの葉をモチーフにした鉄柵を設け、建物と自然界の姿を見事に調和させています。

彼は様々なところに植物や動物、小鳥などのデザインを施し、楽園のような建物を見事に築き上げました。

カサ・ビセンスは私邸のため中の見学は不可能ですが、外観を見るだけでもかなり面白いと思います。

インフォメーション

■カサ・ビセンス(Casa Vicens)
住所:Carrer de les Carolines 24, Barcelona
最寄駅:地下鉄3号線「フォンタナ(Fontana)」徒歩5分
※私邸のため中の見学は不可

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