コロニア・グエルの教会地下聖堂
1898年、グエルはガウディに新たなる使命を与えました。
「コロニア・グエル」内の地下聖堂の建設です。
「コロニア・グエル」は、グエルが1890年に設立した労働者のためのコロニーです。
この当時のバルセロナでは紛争が絶えず、グエルは労働者を紛争から守るために、コロニーを建設しました。
その中には、ガウディの教会も含め、学校、医療機関、住宅など、生活に必要な全てのものが備えられたほか、劇場や運動場も完備していました。
ですから、「コロニア・グエル」は、ガウディが教会を担当した以外にも多くの建築家が雇われ、それぞれの建築物を分業で建てていたのです。
このコロニーは、グエルがサンタ・コロマ・ダ・セルベリョに所有する邸宅を中心に、30ヘクタールもの広大な敷地の上に建設されました。
ガウディは、この聖堂建設着工までに10年をかけました。
グエル邸同様に、放射線型の構造を採用したかったのです。
水平線上の天井を柱で支えるよりも難易度が高く、力学的な問題をクリアしなければなりません。
そしてそれは、聖なる山・モンセラートを再現するものでした。
1908年、一通りの実験で得た結果を元に、「コロニア・グエルの教会地下聖堂」が着工しました。
ガウディはその後1914年までこの聖堂建築に携わりますが、グエル家が資金提供を打ち切りにしたことで結局、未完成のままになります。