建築家になる決意

11歳で中等教育に進学したアントニは2人の親友に恵まれます。

一人はエドゥアルド、もう一人はホセ。
いずれも成績優秀な少年です。

思春期に入ったばかりのアントニは、優秀な二人に対して少しコンプレックスを抱いていましたが、三人は大の仲良しになりました。

三人は将来の夢を語り合いました。

エドゥアルドは外交官に、ホセは将来医者になりたいと思っていました。

しかし、アントニにはまだ具体的な夢はありません。

父親によく「お前は立体感覚に優れている」と言われていたので、将来は「立体的なものを造る人」になりたいと思っていました。

そして、そんな具体性のない将来の夢の話をすると、親友たちは「それなら建築家がいいよ」と夢を後押しするようなことを言ってくれたのです。

彼らは学校で、揃って演劇に取り組んだことがありましたが、その時にアントニが素晴らしい舞台装飾をしたことを覚えていました。

アントニの中で、「建築家か、何か面白そうな職業だな」とこの頃から具体的な夢のイメージが膨らみます。

そして卒業と同時に、カタルーニャ地方の中心地、バルセロナに移り住むことに決めました。

学校では複数の科目で単位を落としていて、父親には「単位を取ってからにすればいいだろ」と反対されました。

しかし、息子の確たる決意の前で仕方なく父親は折れ、息子をバルセロナに行かせることにしたのです。

アントニが16歳の時のことです。

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