庭園都市「グエル公園」
1900年、グエルは初めて自らの都市計画を実行に移そうとしていました。
「グエル公園」と名付けられた、庭園都市です。
これは、豊かな自然の中に60棟ほどの分譲住宅を含み、更に教会や市場も併設するという壮大なものです。
この都市計画を実行に移す場所は、バルセロナ郊外、モンターニャ・ペラダ(現バルセロナ市)にある丘です。
土質が悪く、建設条件としては決して良くありませんでしたが、ガウディはグエルからの依頼に快く応じました。
彼は設計図も描かず、すぐに建設を開始します。
しかし、どんな場所にしたいのかという構想はちゃんと出来上がっていました。
そして、頭にあるイメージを少しずつ実現し、途中で何度も計画変更ができるようにしたのです。
ガウディは、個人の邸宅や宗教建築は、これまで幾つも手掛けてきました。
しかし、これほど広大な敷地に様々な施設を取り入れるとなると、それまでと勝手が違ってきます。
当然、それまで通りのやり方では通用しません。
ガウディは最初の数年間で、ファザードなどの主要部分を全て仕上げました。
そこは、グエルとガウディのファンタジーが詰まった場所で、建物の天井、ベンチ、外壁に至るまで、カラフルは粉砕タイルが散りばめられています。
そして、種々の樹木を植え、まるで未開の南国のような平和で自然に溢れた空間になっていったのです。
1906年、ガウディはこの公園に移り住みます。