愛する女性のために
ガウディは生涯独身でしたが、人生で3度の恋をしていました。
初恋は、「カサ・ビセンス」を建築している時のこと。
マタロという町で知り合った、離婚歴のある小学校教師、ジョゼフィーヌという女性に一目ぼれをしました。
しかし、彼女には既に婚約者がおり、しかも背が低く口下手な彼のことをむしろ嫌っていて、結局この恋は報われませんでした。
2度目の恋は、アストルガの司教館を手掛けていた1889年のことです。
ガウディは、教会で祈る一人の女性にまたも一目ぼれをしました。
そして思い切って愛を告白したものの、「私は生涯を神に捧げるつもりでおります」と言われ、その後、彼女は修道院に入り、尼僧になってしまったのです。
彼は手痛い失恋を2度も繰り返したことで、恋愛から逃避し、益々建築に没頭するようになりました。
3度目の恋は、知人のパーティーに出席した時のことです。
偶然同じパーティーに出席していた、芸術に造詣の深い一人の知的な女性がいました。
この女性とガウディはとても気が合い、ガウディは「これこそ長年求めていた愛だ」と確信します。
しかし、不幸にも彼女には婚約者がいて、二人が出会った3日後、彼女は婚約者と共にフランスへ旅立ってしまったのです。
この恋は、ガウディにとって、生涯忘れられない恋になりました。
そして建築家として円熟期を迎えた時、その溢れる思いを建築「カサ・ミラ」に再現することを決意します。