最初の仕事
度重なる苦労を乗り越えて、建築士の免許を取得したアントニ・ガウディ(以下「ガウディ」と表記)。
当時のヨーロッパで、建築士は崇高な専門職で、医者や弁護士と同様の扱いを受けていました。
そして、建築士のステイタスを得たおかげで、ガウディの生活はとても楽になりました。
勿論、まだまだ未熟な建築士ではありましたが、肩書きがものをいい、助手のような仕事でもそこそこいいお給料をもらえるようになったのです。
彼は学校卒業後、工匠・フォントセレの元で助手として働きました。
本当は独立し、自分の事務所を持ちたいのですが、無名でまだまとまったお金のない彼は、どこかの事務所に所属して出発するしかありません。
助手として働く一方で、彼は初めて一人で仕事を手がけました。
バルセロナ市からの依頼で、レアール広場の街灯を造ることになったのです。
これは、市からの依頼ということで、大変名誉あることでした。
次に手がけた仕事は、革手袋ショップの主、コメーリャからの依頼です。
パリ万国博覧会で手袋を展示する予定のコメーリャは、手袋という小さくて地味なアイテムを何とか目立つようにディスプレイしたいと思っていました。
そこで、ガウディにショーケースを依頼したのです。
ガウディは、本当は早く建築家として建築の仕事をしたいと思っていましたが、この依頼を引き受け、依頼主の希望通りのショーケースを造りました。