グエルからの設計依頼
1884年、ガウディの元に、ついにグエルから建築の依頼が来ました。
万国博覧会で出会い、もう6年が過ぎていました。
待望の仕事依頼の内容は、グエルがラス・コルスに所有する土地に守衛小屋と厩舎を造ることです。
後に「グエル別邸」又は「フィンカ・グエルの建物」と呼ばれるものです。
ガウディとグエルは、共に仕事をしたことがなかったものの、芸術について語り合う良き仲間になっていて、グエルはガウディの世界に益々惹かれていました。
しかし、なかなか仕事を与えなかったのは、グエルのガウディに対する期待の高さからだと思われます。
安易に出資するのではなく、もっと長い目で見ながらガウディという「建築の芸術家」を育てていこうと思っていたのです。
そんなグエルの思惑をガウディは気づくこともなく、彼は尊敬するグエルのために、思い切り目立つものを建築しました。
それは、入口の扉に竜がいるという、奇抜なものでした。
ガウディは、ギリシャ神話や東洋思想に現れる「幸福の竜」をモチーフにし、それをグエルに捧げたのです。
建築様式にはこだわらず、東洋式・西洋式・ムデハル様式など様々なものを場所に応じて使っていきました。
そして完成した「グエル別邸」は大反響を呼び、その評判で新聞にも取り上げられたほどです。
グエルはガウディの仕事に満足し、この時を境にグエルはガウディに次々に建築依頼をするようになります。