総合芸術
総合芸術とは、音楽家リヒャルト・ワーグナーが提唱した芸術論で、ガウディは駆け出しの建築家時代から、この「総合芸術論」に深く興味を持っていました。
総合芸術とは、歌、音楽、舞台装置、衣装などが個々の芸術として孤立しないように、全てを融合してひとつの音楽を作り出すという理論です。
例えば、オペラには歌声や楽器の音色、さらに豪華なセットや華やかな舞台衣装があります。
それらの1つでも犠牲にならず、個々の芸術全てが主役になりえるように全体を融合させるのです。
ガウディは、自分の建築物は総合芸術であるべきだと考えるようになりました。
私たちは建物の外観に最も注目してしまいますが、内装、インテリア家具、部屋を構成する空間、そして自然との調和・・・。
全てがそれぞれを引き立てあうことで、神をも越える建築を造りたいと願っていました。
そんなガウディの「建築における総合芸術論」に最も理解を示したのが、グエルです。
二人は共同で1つのプロジェクトに携わるとき、必ず総合芸術を意識しました。
その集大成と呼ぶべきものが、「グエル公園」です。
グエル公園は、自然を織り成す木々や植物が溢れ、タイルの色使いでリズムを奏で、一つの空間で様々な表情を見せる見事な総合芸術です。
ガウディの作品の全てに音が流れ、リズムが感じられるのは、彼の建築に対するこのような芸術理論があったからなのです。