勉強が苦手で職人気質

初等教育(幼稚園・小学校)を受けるアントニは、リューマチにより欠席日数が多く、結果的に学校を1年留年して卒業することになります。

しかし、学校が嫌いということはなく、学校では工作の授業で既にその独創的な発想を披露していたといいます。

但し、勉強全般は苦手でした。

彼は、理論で解釈していくタイプの学科、例えば宗教学などは大の苦手としていました。

彼が好きだった科目は工作だけだったようです。

このことは、兄・フランシスと決定的に違います。

フランシスは頭がよく、将来どんな職業にでも就けるだろうと周りが期待できるような子供でした。

アントニは、論理的思考より創造力で秀でた少年で、兄とはまるで逆です。

しかし、父親はアントニの空間感覚の鋭さに気付いていました。

平らな鉄板を立体的に加工していく工場作業の過程をつぶさに見守るアントニが「物が立体的になっていくのが好き」と言うのを聞いて、息子に卓越した立体感覚があると見抜いたのです。

それはまさに職人気質と呼べるものです。

しかし、時代は徐々に職人のものではなくなってきていました。

全てが機械化され、工場での大量生産に切り替わりつつある時代だったので、職人気質の息子が将来職に就けるのかどうか父は心配しました。

アントニはそんな父の心配をよそに、のびのびとした少年時代を過ごし、中等教育に進学する頃には、ある程度虚弱体質も克服していました。

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