バルセロナに移住
16歳のアントニはバルセロナに移り住み、そこで既に医者になるためにバルセロナの大学に通っていた兄・フランシスコと共に生活することになりました。
当時のバルセロナは、カタルーニャ・ルネサンスの真っただ中。
人口が急増中の大都会でした。
田舎で細々と暮らしていたアントニは、最初は都会に圧倒され、バルセロナにいることに少し緊張したそうです。
彼はまず、中等教育で落とした単位を取得し、その後バルセロナ建築学校に進学しました。
この学校は、予科が3年、本科が4年のコースです。
生活は、父の仕送りでまかなうつもりでしたが、父の工場では受注が目に見えて減り、息子に仕送りをする余裕がなくなっていました。
そこで、兄と弟はアルバイトに精を出しながら学業に励むことにしました。
アントニの成績は決してよくありませんでした。
勉強と仕事の両立は大変で、勉強に集中できる状態ではなかったのです。
ですから、順調に予科を卒業できるはずもなく、結局、予科卒業の試験で大切な科目をパスすることができず、4年を過ごすことになりました。
しかし、何とか本科に進学することができ、建築家になる新たなる決意と共にバルセロナでの生活を必死に生き抜きました。
アントニが本科に進学した年、兄はついに医師免許を取得しました。
これは、ガウディ一家にとって、誇らしい快挙です。
しかし一方で、兄は徐々に病魔に侵され、若くして命を落とすことになります。