聖なる山 モンセラート
カタルーニャの人々にとって、モンセラートは特別な場所です。
バルセロナから北西へ60kmのところにあるこの岩山には、11世紀にベネディクト会派の修道院が建立されました。
14世紀に「黒い聖母子像」が発見され、モンセラートはカタルーニャ人にとって聖地と位置付けられました。
それから5世紀が経ち、ガウディが活躍した年代にもモンセラートを崇める精神は引き継がれました。
いつしか、カタルーニャ人の魂が宿る場所、カタルーニャの信仰の拠点となり、その伝統は現在まで受け継がれています。
特別な信仰心がなくても、カタルーニャの地で生まれ育った人はみな、モンセラートに特別な思い入れがあるといいます。
ガウディもまた、信仰に目覚める前から、モンセラートに特別な愛情を抱いていました。
彼にとって、モンセラートは地中海同様に、常にインスピレーションを源となる存在だったのです。
彼はしばしばモンセラートを見に行き、自分を見つめ直していました。
彼の父親が最期に見たいと言った場所も、モンセラートです。
彼は新しい建築に携わるたびにモンセラートに心を馳せ、真摯な気持ちで作業に携わっていたに違いありません。
ガウディはここに、「栄光の第一飛跡」という小さな聖堂を建てていますが、そこはモンセラートのありのままの姿を残したささやかな場所です。
ガウディの壮大な建築の中にあり、ひときわ慎ましく信仰心が表れているところです。