グエルとの出会い

グエル

1878年に行われたパリ万国博覧会で、ガウディが制作したショーケースに釘付けになる一人の男性がいました。

若手実業家、エウゼビ・グエルです。

スペインの新興ブルジョワで、父の代で財を成した後、20代で父の跡取りになったグエルは、この日、自社製品を展示するために博覧会にやってきていました。

そして、ガウディの作品に一目ぼれをしたのです。

グエルは大金持ちなだけでなく、芸術への造詣が深く、優れた若手芸術家をバックアップするのが自分の使命だと思っていました。

そして、ガウディを支援したいと思い、当時まだ無名だったガウディのことを何とか調べ上げ、自宅に押し掛けたのです。

ガウディは、グエルの訪問を心から喜びました。

グエルが彼に最初依頼したのは、彼の義父に贈る狩猟用具を収納する家具のデザインでした。

正直なところ、ガウディにはあまり嬉しい依頼ではありませんでした。

彼は家具ではなく、建築物をデザインしたかったのです。

グエルは彼を気に入りましたが、最初の頃は家具などやロゴなどの発注をすることが多く、建築の依頼をすることはありませんでした。

しかし、ガウディがマントレールの工匠で手掛けた建築「エル・カプリッチョ」をグエルが気に入り、それ以来、ガウディに頻繁に建築デザインの仕事を依頼するようになりました。

こうしてグエルはガウディのパトロンになり、その後40年にわたり、彼を支援し続けます。

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